万が一に備えて連絡先を控えておく意義 刑事弁護人だより

万が一に備えて連絡先を控えておく意義

長い人生において、先の事を完全に見通すことは不可能です。

どんなに気を付けて生活していても、

事件に悪い方向で巻き込まれて、身体拘束されてしまう可能性を

完全に排除することは、現実として困難です。

ニュースなどでご存じかと思いますが、冤罪のために、

身体拘束されてしまった例は、少なからずあります。

「前の日に酔っぱらって、朝、気が付いたら留置場にいた。」という

事例を何度も担当したことがあります。

ですから、当職としては、思わぬ身体拘束を受けたときに、

自己の権利を守るために、どのように行動すればよいかを、

事前に知っておくことは非常に重要で有意義なことだと考えております。

身体拘束時に第一に行うべきこと

まず、第一に行うことは、一刻も早く弁護士と接見することになります。

弁護士と接見する方法の詳細については、別記事にてご紹介しますが、

とにかく、弁解録取を担当する警察官か留置係の警察官に弁護士との

接見を希望する旨伝えて下さい。

具体的な弁護人候補の弁護士がいれば、氏名、事務所名、

事務所の大まかな場所等を警察官に伝えて、至急の連絡を要請します。

弁護士の知り合いがいない場合には、当番弁護士の派遣を希望する旨、

警察官に申し出て下さい。

弁護士との接見で話すべきこと

弁護士との接見が実現したら、被疑事実や逮捕の経緯などを詳細に伝えて、

アドバイスを受けて下さい。

取り調べの状況や供述内容についても、合わせて説明して、

今後の対応についてアドバイスを受けて下さい。

調書関連の細かい対応(調書署名の適否など)についても、確認して下さい。

経験があってもなくても、手続の流れについて、確認して下さい。

その上で、外部への連絡(家族や職場など)をお願いすることになると思います。

弁護士に外部連絡を依頼するに当たって連絡先を控えておくことの重要性

弁護士に外部連絡をお願いするためには、

外部の連絡先をご自身で把握している必要があります。

「連絡先の電話番号を全て暗記しているし、いざというときも絶対に思い出せる。」

という方は、特に事前に対応しておく必要はありません。

しかし、そのよう方は少数派でしょうから、大多数の方は、

事前に備えをしておく必要があります。

当職のお勧めは、緊急時に連絡が必要な外部の連絡先等の情報を

紙に書いて、肌身離さず持ち歩くという方法になります。

書いておくべき情報は、氏名、郵便番号、住所、電話番号になります。

電話番号は必須ですし、郵便番号・住所は、

ご自身や弁護士が手紙を出す際に、非常に便利です。

「今どき、紙に書くとは・・・。」と思われたかもしれませんが、

これが一番確実なのです。

紙に書く方法に準ずるものとして、携帯番号などをメモした相手

の名刺を携帯しておくという方法もあります。

「携帯に入っている。」では、いざというときに、役に立ちません。

携帯電話は、証拠品として押収されることがあるためです。

そうなったら、携帯電話を弁護人に渡して、連絡先を確認してもらう

という方法も取れません。

証拠品として押収されていなくとも、曜日、時間帯によっては、

保管庫のセキュリティの関係で、弁護人への宅下げが困難な

場合もあります。

事件のどさくさで、携帯が行方不明ということも、あり得ます。

今述べたような理由から、当職としては、

紙ベースで準備しておくことを、推奨しております。