当番弁護で来た弁護士に手続の流れを聞いてみた―逮捕から勾留決定までを中心に 模擬接見シナリオ

当番弁護で来た弁護士に手続の流れを聞いてみた―逮捕から勾留決定までを中心に
弁護士B
弁護士B

はじめまして、弁護士のBと申します。

T弁護士会から、当番弁護士として、

派遣されてまいりました。

Aさんですか。

被疑者A
被疑者A

はい、そうです。

よろしくお願いします。

弁護士B
弁護士B

最初に、私の手元にある配点連絡票の情報に誤りがないか、

確認させて下さい。

お名前の漢字と読みは、こちらであっていますね。

生年月日、年齢もあっていますね。

日本人の男性の方で、間違いないですね。

罪名は、傷害と聞いていますか。

逮捕は、いつですか。ちなみに、今は、

令和3年7月3日、土曜日の午後6時30分です。

被疑者A
被疑者A

えっと、捕まったのは、日付が7月3日になってすぐの

午前0時30分ごろになります。

弁護士B
弁護士B

分かりました。配点連絡票の情報に誤りはないようです。

よろしくお願いいたします。

せっかく、お呼びいただいたので、

真っ先に聞きたいということがあれば、ぜひ。

被疑者A
被疑者A

そうですか。

とにかく、初めてのことで、全然経験がなくて、

この後、どういう流れになるのか、

全然分からなくて。

弁護士B
弁護士B

分かりました、手続が一区切りになるところまで、

説明しますね。

被疑者A
被疑者A

お願いします。

弁護士B
弁護士B

まず、逮捕されたのが、今日の午前0時半頃ということですが、

今、Aさんは、逮捕中という状態になります。

逮捕中の状態は、48時間までしか、続けることができません。

48時間以内に警察がAさんを釈放しないという場合には、

次の手続を進める必要があるのです。

被疑者A
被疑者A

どんな手続きですか。

弁護士B
弁護士B

今回の事件を、検察庁に送るという手続になります。

被疑者A
被疑者A

そういえば、担当さんが、

明日、どこかに出かけると言ってました。

立川の方に行くとか。

弁護士B
弁護士B

はい、明日の朝、今回の事件の書類一式が、

Aさんと一緒に、立川の検察庁に

送られることになります。

被疑者A
被疑者A

えっ、そうなんですね。でも、私、

立川の検察庁とか場所が分からないのですが。

弁護士B
弁護士B

大丈夫ですよ。明日、

他の人と一緒にバスで連れて

行ってもらえますから。

被疑者A
被疑者A

立川に行って、なにをするのですか。

弁護士B
弁護士B

明日、立川の検察庁で、

検察官の取り調べを受けることになります。

被疑者A
被疑者A

警察官?警察の人が立川にも来るのですか。

弁護士B
弁護士B

「けいさつかん」ではなく「けんさつかん」です。

被疑者A
被疑者A

検察官・・・。ああ、検事さんのことですね。

ドラマとかで、「異議あり」とか言っている人。

弁護士B
弁護士B

ええ、その人。

被疑者A
被疑者A

じゃ、明日、裁判ということですか。

弁護士B
弁護士B

裁判ではなく、検察官の取調べを受けるだけですね。

そもそも、まだ、起訴されていないですから、

テレビで見るような裁判は、まだ、開かれません。

被疑者A
被疑者A

検事さんの取調べは、警察のときと

同じ感じですか。

弁護士B
弁護士B

基本的には、そうですね。

ただ、明日は、弁解録取という手続上の

取調べなので、認否やAさんの言い分を中心に聞いて、

細かいことは後日ということになりますね。

被疑者A
被疑者A

明日以外にも、検察庁に行くこともあるのですね。

弁護士B
弁護士B

はい。後日、本格的な取調べで、

呼ばれることになります。

被疑者A
被疑者A

明日の取調べの後、どうなりますか。

弁護士B
弁護士B

事件の証拠や取調べの結果を踏まえて、

検察官が、Aさんについて、

もう少し長い身体拘束である「勾留」を

裁判官に請求するかどうか、判断します。

弁護士B
弁護士B

検察官が、この事件の捜査のために、

もう少し長い期間の拘束が必要だと判断したら、

Aさんの勾留を裁判官にお願いすることになります。

被疑者A
被疑者A

検察官が、そのお願いをしない場合、どうなりますか。

弁護士B
弁護士B

釈放になります。

被疑者A
被疑者A

立川でですか。

弁護士B
弁護士B

いえ、一度、警察署に戻ってきます。

警察署に着いたら、すぐ釈放。

被疑者A
被疑者A

その場合は、無罪ということになるのですか。

弁護士B
弁護士B

いえ、違います。

事件の処分については、一旦、

保留ということになります。

つまり、事件は、まだ、

生きているということです。

ただ、一旦、家に帰っていいよと。

被疑者A
被疑者A

家で結果を待つ感じですか。

弁護士B
弁護士B

その前に、まだ、捜査が終わっていませんから、

警察や検察官から呼び出しがあると思いますので、

必ず対応して下さい。

被疑者A
被疑者A

釈放になっても、取調べとかは、あるんですね。

弁護士B
弁護士B

そうです。

被疑者A
被疑者A

じゃあ、明日、釈放にならない場合には、どうなりますか。

弁護士B
弁護士B

一旦、警察署に戻ります。

そして、明後日、7月5日に、

今度は、裁判所に行くことになります。

被疑者A
被疑者A

そこで、裁判ですね。

弁護士B
弁護士B

ではなくて、勾留質問という手続になります。

事件が有罪かどうかを決める手続ではなくて、

Aさんを勾留するかどうかを決める手続になります。

質問するのは、裁判官になります。

被疑者A
被疑者A

どんなことを聞かれますか。

取調べですか。

弁護士B
弁護士B

取調べではなく、Aさんの言い分を聞く感じですね。

被疑者A
被疑者A

「反省してます、お願いします。」とかですか。

弁護士B
弁護士B

ではなくて、事件に対する言い分ですね。

「やってます。」「やってません。」とか、

「人違いです。」とか

「相手が先に手を出してきて、防いだだけです。」

とか、そういう言い分。

弁護士B
弁護士B

ただ、釈放してもいいかなと、裁判官が考えている場合には、

「反省しているか。」とか「家族はいるのか。」とか、

「被害者に近づかないと約束できるか。」というような話題が

でることがありますので、そのときは、

しっかりお話しして下さい。

被疑者A
被疑者A

分かりました。そういう流れになるように頑張ります。

弁護士B
弁護士B

証拠を見て、Aさんの言い分を聞いて、

勾留いらないということになったら、

検察官の勾留請求は却下ということになります。

そうなったら、釈放ですね。警察署に戻ってから。

後は、家から、捜査に協力して下さい。

被疑者A
被疑者A

だめだと、どうなりますか。

弁護士B
弁護士B

裁判官が勾留の決定を出します。

そうなったら、検察庁に行った日から

数えて10日間、捜査のために、

警察署に居ないといけないということに

なります。

被疑者A
被疑者A

MAX10日ですか。

弁護士B
弁護士B

いえ、起訴前の1つの事件について、

通じて20日まで、勾留の期間を延ばすことができます。

1つの事件の捜査で、MAX20日。

被疑者A
被疑者A

絶対に、10日とか20日とか、勾留されてしまうのですか。

早まったりとかは、絶対ないのですか。

弁護士B
弁護士B

示談ができたりして、早まることはあります。

「10日間勾留できるけど、これ以上置いておいても

意味ないから8日間で釈放します。」みたいな。

被疑者A
被疑者A

誰が決めますか。

弁護士B
弁護士B

検察官です。

「裁判官は、10日間認めてくれたけど、

7日目に示談になったから、8日目で釈放するか。」

みたいな感じです。

被疑者A
被疑者A

なるほど。大体、流れは分かりました。

とりあえず、明日、明後日が山場ということですね。

弁護士B
弁護士B

そうですね。流れを説明しましたので、

次は、事実関係について、詳しく教えて

いただけますか。

そうすれば、事件の見通しとか、

勾留の見通しが分かりますから、

それを踏まえて、弁護人どうしようか、

というお話もしやすくなります。

被疑者A
被疑者A

分かりました。

では、どこから、お話しすれば、いいいですか。